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    「聴取」(「手錠」②)

    「ほぉ、こんなイヤらしい格好をしていたとはねえ」
     春物の薄手のコートを脱がされた女は、太った方の警官を睨み付けた。逮捕されて黒いワンボックスカーの後部座席に押し込められた際、後ろ手錠を一旦外されて前手錠を掛けられ、手錠と繋ぐ腰縄まで打たれた。その際、着ていたコートを脱がされ、肩に掛けられたのだ。
     そして、今は鉄格子の嵌まった取調室に押し込められ、座らされたパイプ椅子の背もたれに腰縄を繋がれている。手錠も外されないままだ。
    「し、仕方ないでしょ。時間がなかったんです……」
     女は顔を赤らめながら抗弁した。女が着ていたのは黒革のコルセットスカートと呼ばれる衣装で、胸から下までの上半身のボディラインを強調するよう腰の部分を絞ったコルセットに、同素材の短いスカートをセットアップしたものだ。
    「ふむ。ところで、あんたの源氏名は何というんだ?」
    「りょ、涼花です……」
     逮捕後、連行された薄暗い取調室で、涼花と名乗った女は消え入りそうな声で答えた。太った警官はニヤリと笑いながら重ねて訊いた。
    「縄とか鞭とか入っていたが、今日はどんなプレイをしたんだ?」
     警官は取調室に持ち込んだ涼花のキャリーバッグから、縄や革手錠を取り出し、机に並べ始めた。涼花は眉を曇らせながら答えた。
    「……縄で縛ったり、革手錠で拘束したりして、鞭で叩いたり、ロウソクを垂らしたりです」
     俯きつつ、声は消え入るように小さくなる。地味ながら整った顔は赤らみ、机の上に乗せた手錠の嵌まった両手を握りしめている。
    「ねえ、あたしが縄とかを持ってたのは、仕事のためなんです。関係ない人を縛ったりするつもりなんかありません。お願いです、帰してくれませんか?」
     涼花は両目に涙を溜めて抗議した。よく見ると、顔立ちはそれなりに派手に見えるが、化粧を落としたら童顔なのかもしれない。年齢も二十過ぎくらいだろう。
    「しかし、あんたがそういう物を持ち歩いていたのは事実だろう。しかも、荷物の中身を改めたら、こんな物まで入っていた。明らかに銃刀法違反だな」
     背の高い警官がキャリーバッグから、布に包まれた細長い物を取り出し、太った方に手渡した。布を取り去ると、ハサミが姿を現した。
    「こ、これは縄が絡まったり解けなくなったとき、切るためのものです」
    「しかしねえ、こういう物を持ち歩くだけで、犯罪になるんだよ。知らなかったのか?」
    「そんなっ……」
    「人を縛るための縄のほかにも、刃物まで持っていたとあっては、見逃すわけにはいけませんね」
     長身の警官の目付きが厳しくなる。
    「確かにそうだ。縄を切るためにハサミを所持していたということが証明できないと、いつまで経っても帰れないぞ」
     太った方が涼花を睨み付けた。
    「どうやって証明すればいいんですか」
     涼花の声は震えている。
    「まあ、少し落ち着きなさい。よく考えたら、まだ手錠を掛けたままだったな。おい、外してやれ」
    「はい」
     背の高い警官が涼花に歩み寄り、手錠を外し始めた。涼花はホッとした様子で両手首を労るように擦った。すると、両手は背中に捻じ上げられた。
    「何をするんですかっ!」
     長身の警官が涼花の両手首を腰の上で重ねるような形に押さえ付け、太った方が机の上の縄をそこに巻き付ける。縄はあっという間に胸の上に掛け回され、背後で縄留めされる。それだけで涼花は身動きできなくなった。
    「縛られるのは初めてなのか? こうされたらもう抵抗できないって分かってるだろう」
     縄が胸の下にも回され、二の腕と胴体の間にも掛けられると、ますます緊縛は厳しくなる。そして、背中から首の横を通った縄が、乳房の間に通され、胸の上下に掛かった縄を引き絞り、もう片方の首の横から再び背中の縄に固定される。後ろ手に縛られただけでなく、乳房を縦横に縄で固められた格好だ。背後で太った警官が言った。
    「ハサミを縄を切るために使ってるって言ったな。なら、自分で縄を切ってみせるんだ」
    「む、無理です、そんな……」
    「なら、ハサミは不法に所持してたことになるぞ、それでもいいのか」
     長身の方が薄笑いを浮かべながらハサミを机の上に置いた。涼花は縛られた身体を捩り、拘束された右手で何とか掴もうとする。だが、長身がハサミを取り、刃先をつまんで涼花の目の前で揺らした。
     涼花が歯噛みしていると、背後から縄尻を引き上げられ、椅子から立たされた。
    「どうやら無理そうだな。今からお前を本格的に取り調べる。覚悟しておけよ」
     背中をどんと突き飛ばされ、涼花はつんのめった。長身に身体を抱き止められ、顎をつままれて顔を上に向けられた。にやけ顔と人を馬鹿にしたような目と視線が合う。その顔に唾を吐きかけてやりたい気持ちを、涼花は何とか堪えた。

    「手錠」

     新宿・歌舞伎町のラブホテル街をキャリーバッグを引きながら、新宿駅方面に急ぐ若い女がいた。左手首の腕時計に目を落とした後に前を向くと、制服警官が二人立ちはだかっている。
    「お急ぎのところすみません、職務質問させてください」
     やや太めの警官が女に声を掛けた。
    「あたし、急いでるんですけど?」
     若干尖った声で返答した。
    「申し訳ありません、この辺りでちょっとした事件がありまして。すぐ終わりますので、ご協力お願いできませんか。何か身分を証明するものをお持ちでしたら、ご提示いただきたいのですが」
     もう一人の背の高い警官が妙に腰の低い調子で説得する。女は渋々肩に掛けたバッグから取り出した財布にしまっていた運転免許証を見せた。太った警官が懐中電灯でそれを照らして記載事項を確認すると、付け加えるように言った。
    「大変恐縮ですが、お荷物の中身を見せていただけませんか?」
    「それは……」
    「ちょっと拝見させていただくだけで構いません。ご協力を」
     長身の方も畳みかけてくる。女と警官二人はしばらく押し問答をしていたが、やがて根負けしたのか、女は仕方なさげにキャリーバッグを開いた。
    「これは何ですか?」
     長身が持ち上げたキャリーバッグの中身に照明を当てながら、太った方が訊いた。先端が幾つのも房に分かれた革製品だ。
    「……その、ちょっと叩いたりするものでして……」
    「叩く? ちなみにこれは何です?」
     太った方が風呂敷包みの結び目を解く。中からはエンジ色の麻縄の束が複数顔を覗かせた。
    「いや、これはちょっと結んだりするものでして……」
     俯いた女の答えは歯切れが悪い。
    「結ぶ? これは人を拘束するものではありませんか? 何のためにそんなことを?」
    「おや、この黒い革製品は何です?」
     背の高い方の問いに、太った方が上擦った声で応じた。
    「刑務所なんかで使われる革手錠に似てますねえ。あなた、何でこんなものを?」
    「仕事です」
    「何の仕事? 随分物騒なものをお持ちですねえ」
     女は顔を上げた。卵形で整った目鼻立ちをしている。髪の毛は肩の辺りまで垂らしているのが見える。
    「その、女王様をしてるんです……」
    「女王様って、SMの? 失礼ながら、そうは見えませんねえ。清楚でお綺麗なのに」
     太った方の態度が次第に無遠慮になってきた。女は少し憤然とした表情となっている。
    「あのう、もういいですか? 急いでるんですよ」
    「残念ながら、署にご同行いただくしかありません」
     キャリーバッグの蓋を閉めた後、長身の方が告げた。
    「な、何で?」
    「あなたは人を叩いたり、拘束したりできる物を持ち歩いている。これは詳しく話を訊かせてもらうしかありません」
    「そうしてほしい人がいるからなんです。何も悪いことはしていません」
     すると、太っている方が女の右手を背中にねじ上げた。
    「何するの? あたし、何も悪くないのにっ」
    「軽犯罪法違反の現行犯であなたを逮捕します」
     カチャリという冷たい音とともに右手首に金属が巻き付いてくる。手錠を嵌められたらしい。
    「言い分は署でゆっくり聞いてやる。大人しくするんだな」
    「そんな……」
     左手首にも続いて手錠を打たれた。女はその場にしゃがみ込みそうになりながら、言葉を継げなかった。両目には涙が浮かんでいた。

    「絶叫」(「連行」・完)

    「うぅ……くっ」
    「ほら、きちんと舌使わないと。そんなんだからハイスペの彼氏に振られるんだぜ」
    「だって、ああっ」
     赤川の前に仁王立ちとなった木内は、ズボンのベルトを外し、赤黒く長大な肉棒をさらけ出している。椅子から下ろされ、膝立ちとなった赤川の舌や唇が根元から先端に向けて這うのにつれ、垂れ下がっていたそれは徐々に力を増してくるようだ。だが、赤川の口唇愛撫はどうしても途切れ途切れにならざるを得ない。上半身は相変わらず高手小手に縛られたままで、カメラマンを角井と交代した原の手が尻の方から差し入れられ、秘裂や肉芽を荒らし回っているからだ。
    「ほら、何オマ×コで指を締め付けてるんですか。フェラしながら逝ったらお仕置きですよ」
    「だって中もクリも気持ちいいのっ!」
     原に言葉で煽られ、赤川は喚いた。原のテクニックもなかなかのものらしく、中指で秘口を嬲りつつ、親指で肉芽を責めているようだ。指責めにつれてはしたない水音が聞こえてくる。
    「もっと真面目に舐めないと、これを喰らわせてやらないぞ。まだ立ちが不十分だからな」
    「そんなっ。もうこんなに……」
     赤川は肉茎に沿って舌を這わせ、先端に舌を絡ませる。その様子は淫ら以外の何物でもないが、媚薬と色責めで何度も絶頂に追い込まれた赤川はただただ咥えさせられている赤黒いものを欲しているようだ。
    (ああ、あたしも逝きたい……)
     赤川の淫技を傍で見せ付けられている奈々美は、赤川の方に向き直された椅子に縛り付けられたままだった。後門のミニローターは作動しているものの、媚薬と責めによって性感を極限まで高められた肉体は放置されている。後門からの振動は膨れ上がった欲望を多少慰撫してはくれるが、絶頂に導いてくれるほどの爆発力はない。奈々美は乳首と肉芽を勃起させ、可憐な唇と秘裂から涎を垂れ流しながら、中途半端な刺激に悶えていた。
    「おや、もう一人の被疑者がこっちを物欲しそうに見つめてますぜ」
     赤川の股間を抉って色っぽい苦鳴を上げさせつつ、原が言った。
    「どうしてほしいんだ。お前の用事はもう済んだはずだが」
    「……早く縄を解いて解放してください」
     消え入るような声で奈々美が応えた。
    「この女にお仕置きを加えてからだ。どうせなら、その様子も見たいだろう」
     木内が赤川の口に長大なものを突き入れる。赤川は苦しげに涎を流しながらも、懸命に顔を前後に動かしている。
    「本当に解放してほしいのかな」
     原は赤川への責めを中断すると、奈々美の傍に来て乳首をこね回し、蟻の門渡りを擽った。
    「ああん、それ……」
    「これが気持ち良いの?」
    「それだけじゃイヤっ!」
     涙を噴きこぼしながら、奈々美は叫んだ。
    「もうゲームは終わったんだ、お前の勝ちでな。今さらお前を逝かせる意味はない。おれたちはこの女の仕置きに忙しいのでな」
     腰を振りながら肉茎を咥え込む赤川の頭を撫でながら木内は返した。
    「だって、このままじゃ……。辛いですぅ」
    「何が?」
    「逝かせてっ! あたしのことも逝かせてくださいっ!」
    「せっかく賭けに勝ったのに、今度逝かされたらお前の負けと見なすぞ。それでもいいのか?」
    「もう気が狂っちゃうっ! 逝かせてぇ……。逝きたいのっ」
    「なら、もう容赦しないからな」
     木内は肉茎を赤川の口から引き抜いた。不満そうな表情を見せた彼女の口を代わって原の肉棒が埋めた。木内は奈々美を椅子から解くと、後門のローターを引き抜いて悲鳴を上げさせた後、赤川と同じように膝立ちにさせ、その顔の前に逸物を突き付けた。
    「どうすればいいか分かってるだろうな?」
    「はい……」
     泣きべそをかきながら、奈々美は木内の肉棒を咥え、顔を前後に動かした。
    「甘いな、お前の彼氏はそんな口の使い方で満足してるのか?」
     そう揶揄されても、奈々美は既に細かいテクニックを駆使する余裕はない。顔を懸命に動かすことしか考えられなかった。
    「もういい。そんなに欲しいなら、これで逝かせてやる」
     奈々美の髪を掴んで腰を突き入れながら、木内は言った。傍にあったマットレスを床に敷くと、奈々美を俯せの体勢にし、腰を上げさせた。何をされるか悟った奈々美は抵抗したが、すぐに木内の肉棒に背後から貫かれる。隣では、同じようにバックから原が赤川に挑んでいる。早くも赤川の嬌声が上がる中、奈々美は叫んだ。
    「ああん、しないでっ」
    「逝かせてほしいんだろ? おれたちも指やオモチャで責めるのにはいい加減飽きてるんだよ」
     木内は大きく腰を前後させる。奥が肉棒の先端で突かれるたび、今までにない太く逞しい快感に全身が貫かれる。
    「ああ、武雄さん……」
    「まだ彼氏の名前を言ってやがる。今のお前はこんな助平な顔してるんだぞ」
     背後から髪の毛を掴まれ、正面の鏡に自らの姿が映る。緊縛された身体に肉棒を突き入れられつつ、眉毛を八の字にしながら、涎を垂らしつつはしたない口から喘ぎ声を漏らしている。そんな自身の淫らな様も、最早興奮材料の一つでしかなかった。
    「あん、逝くっ、逝っちゃうっ……」
    「もう逝ったのか? 自分からせがんだからには、1回逝ったくらいじゃ許さないからな」
     今度は腰の動きが速くなる。今までとは違ったペースに、翻弄され、奈々美は腰を大きく振り立てた。
    「あんぅ、ダメっ、また逝っちゃうぅ……」
     奈々美の頭の中は真っ白になり、身体がひとりでに痙攣する。隣では赤川も原の腰遣いであえなく逝かされていた。

    「媚薬が効きすぎたんですかね、まだ物欲しげに腰を動かしてますぜ」
    「よっぽど溜まってたんでしょうな、2人とも良い女なのにもったいない」
    「角井、原、お前らの責めも効いてたんだよ」
     3人の男たちは椅子に腰掛けて缶ビールを呑んでいる。原と角井が交代で構えていたテレビカメラは三脚に固定され、前方で繰り広げられる淫技を撮影している。
    「あん、イヤっ……」
    「気持ちいいっ」
     奈々美と赤川は後ろ手に縛られたまま、四つん這いのような格好で、お互いの尻を付き合わせつつ、腰を動かしている。2人を繋ぐのは双頭ディルドで、お互いの秘口が太い先端に貫かれている。2人の間の床には既に淫液が水溜まりのように滴っている。
     3人の男たちに交互に犯され、何度も絶頂に追い上げられた奈々美と赤川は、この男たちが休憩している間、双頭バイブで繋がれたのだ。2人は最初は戸惑いがちだったが、次第に腰の使い方のコツを覚えたのか、はばかりなくよがり声を上げている。
    「どうするんですか、こいつら? すっかり色狂いになっちまいましたが」
    「ここまで骨抜きにされて動画も撮られている以上、2人ともおれたちの奴隷だ。もっとも赤川はもう縛りの味を覚えているがな」
     赤川はこの3人に復讐を依頼した際、交換条件として木内から調教されていたのだ。奈々美を責めた罰として責められた赤川が簡単に堕ちたのも、既に奴隷化されていたからだった。
    「奈々美の彼氏、野川武彦の妹・咲良をおびき出すのに使うのさ。大学のミスコンにでたこともある美人だから、楽しみだぜ」
    「本当ですか、写真をチラ見したら、なかなか良い女みたいですねえ」
     原が下卑た顔を見せた。
    「あの女どもにはおれたちの仕事を手伝わせながら、金持ち専門のSMクラブで働かせよう。あんなに使いでのある女はいないぜ、なかなかな」
     木内は頬を歪めた。
    「あ、逝くっ」
    「あたしもっ」
     2人の女は同時に身体を痙攣させ、息を弾ませている。その顔は既に淫欲の渇きを癒やすことしか頭になさそうだった。
    「また、おれたちもやつらの身体を愉しむか」
     男たちは立ち上がった。女たちに媚薬を盛るだけでなく、男たちも休憩中に特殊な精力剤を服用していた。奈々美と赤川は腰が立たなくなるまで責め立てられることになっていた。



    「時間」(「連行」⑪)

    「赤川さんは奥が好きなのかな? それともこっち?」
     角井が秘口に挿入した中指を様々に動かしている。指が奥を擦り上げると、全身を仰け反らして喘いだ。
    「奥が好きなんだ。案外助平ですねえ」
     中指をゆっくりした速度で抽送しながら、角井は肉芽を舐め上げ、吸い上げる。
    「いやあぁっ!」
     赤川は手放しで喘ぎ声を放った。最早、20分間耐え抜くことなど、すっかり頭から抜け落ちてしまったようだ。指を小刻みに動かされ、顔を仰け反らせながら嬌声を盛大に響かせている。
    「ふふふ、お隣はもう陥落しそうだな。あんたはどうかな?」
     木内は繊毛を弄っていた手で肉芽をスッと撫でた。
    「ひっ! イヤあぁぁ」
     奈々美も赤川に負けないくらい大きな喘ぎ声を上げた。木内の指は秘裂から溢れる粘液をすくい取り、肉芽に塗り付けるように動いている。
    「随分ヌルヌルしているじゃないか。逝くときは逝くって正直に言うんだぞ」
     木内のドスの利いた声とは裏腹に、肉芽の先端が指先で優しく愛撫される。乳首も同時にいじくられ、散々に焦らされていた奈々美の性感は。媚薬の効果もあってか、あっという間に沸点近くまで引き上げられる。
    「ああ、そこはダメなのぉ……。許して、許してくださいっ」
     目の前が真っ赤になり、鏡に映った赤川の姿はもちろん、自分のそれも視界から滲んでしまう。奈々美も絶頂に導かれること以外、何も考えられない状態に陥っていた。
    「ああん、もう……。我慢できない、ああああっ」
    「まだまだ逝かせてやりませんよ」
     角井が抽送を止め、中指に付着した粘液を赤川の頬に塗り付ける。
    「もう意地悪しないで……。お願いよ」
     赤川は遂に涙ぐみながら、さらなる責めを哀願した。
    「2回も逝ったらどうなるか分かってるんですか?」
    「まあまあ、もうそろそろ引導を渡してやろう。これ以上焦らされたら気が狂っちまう」
     木内は赤川の背後に回り、乳首を摘まんだ。赤川が呻き声を上げる。木内が顔を近付けると、その唇を貪りだした。
    「そんな……」
     待ち望んでいた肉芽への責めを中断された奈々美は、開脚縛りにされた両脚をばたつかせた。ご丁寧に後門に挿入されたローターのスイッチも切られていた。
    「せっかく逝きそうだったのかもしれないがな、まずはこの女が優先だ。悪く思うなよ」
     むずかる奈々美に意地の悪そうな笑みを向けると、木内は赤川の乳首を指で転がしつつ、耳朶を噛む。角井は指の抽送を再開し、大きな音を立てて肉芽を吸う。指の出し入れが続けられている秘口からも、淫らな水音が微かに響いている。
    「ああっ、もうダメ」
     赤川は木内の顔を見て、許しを請うような表情を見せた。木内はそれに呼応するように乳首を転がす指の回転を速めた。
    「もう覚悟を決めたんですね。これでどうです?」
    「んっ、本当にもう死んじゃう……。逝くっ、いいっくぅ……」
     真っ赤に染めた身体が、電気が走ったように数回痙攣した。赤川は口をパクパクさせながら、眉根を寄せつつ呻いた。完全な敗北の姿だった。
    「一息吐いたら、また逝かせてやれ。あと2回は行けるだろう」
     角井に命じた木内は、再び奈々美の正面に立った。奈々美はそっぽを向きながら、横目でチラチラと木内を睨んでいる。
    「ふふっ、放置されて拗ねてるのか」
     後門に挿入されたローターが再び作動し始める。
    「ああん、そこじゃないっ」
     奈々美はまた脚をバタつかせる。
    「とか言いながら、相変わらず乳首がビンビンだぞ。またオマ×コが濡れてきてるぜ」
    「イヤあ、意地悪っ!」
    「何が意地悪だ、お前が逝かないように手加減してやってるんだぜ。逝かされたらここに何日も監禁されて、ずっとこんなイヤらしい拷問をされるんだ。彼氏も呆れるような淫乱女になっちまってもいいのか、あん?」
    「だってっ!」
    「触ってほしいんだな、1日も経たないうちにこんなに助平になっちまって。家に大人のオモチャ隠しとくような女だから、こんなもんか」
     木内は切羽詰まった奈々美の乱れようを嘲笑しながら、乳首を指で摘まんで嬲りつつ、内股や繊毛のあたりを擽った。
    「もうどうなってもいいのっ!」
     奈々美は木内を切なげな目で見つめながら、責めをせがむ声は切迫の度を増している。
    「どうしてほしいんだ? 改めておねだりしてみろ」
    「……かせて……」
    「聞こえない」
    「逝かせてっ……。もう意地悪止めてくださいっ!」
     完全に屈服した奈々美の顔を一瞬じっと見つめた木内は、彼女の前にしゃがみ込んだ。肉芽に息を吹き掛ける責めを繰り返して奈々美を啼かせた後、中指を秘口に沈めていった。
    「ああ、そこ……」
    「オマ×コに指を入れてほしかったのか、あん?」
    「あひっ」
     奈々美は固縛された身体を反らせた。木内は指の抽送を行いながら、肉芽へキスし、しゃぶり立てる。
    「ダメ、そこダメぇ」
    「3点責めだ、さっきの赤川よりサービスがいいぜ」
    「おれも手伝いますよ」
     赤川を3回目の絶頂に追い込んだ後、角井が寄ってきて奈々美の乳首を掌で転がし始めた。対照的に、木内による中指の抽送の速度は低下した。
    「あん、そこがいいのっ。気持ちいいっ……」
     奈々美は全身から汗を噴き出しつつ、身体を震わせる。顔を左右に振りながら、蕩けたような表情を晒している。下腹部が徐々に痙攣し始める。その時、電子音が鳴った。ノートパソコンの画面は20分が経過したことを示していた。
    「よかったな、お前は解放してもらえるぞ。逝かせてもらえなかった代わりにな」
     木内と角井はサッと奈々美の身体を離れた。奈々美は大きく息を弾ませながら、呆然とした顔で木内を見つめていた。

    「紅茶」(「連行」⑩)

    「ほら、クリちゃんを触ってほしいか? それともこいつで責めてもらいたいか?」
     木内はズボンのポケットからピンクローターを取り出した。長さ2センチほどの小型のもので、先ほど使われた奈々美の持ち物ではない。奈々美は顔を赤らめて小さく頷いた。蜂の羽音のような振動音が響くと、身体の疼きが増してくる。木内はコードの中程を持ち、振動子を垂らすと、奈々美の耳から首筋に這わせた後、乳首に当たるようにした。
    「あっ……」
     奈々美は身体を跳ねさせた。自分で使用したときはもちろん、武彦に使われたときに感じた以上の快感が全身を蝕んでいく。今まで焦らすような刺激しか与えられなかっただけに、乳首への振動はより甘美に感じられる。両方の乳首をローターによる刺激に晒され、奈々美は上半身を悶えさせた。
    「ふふふ、まさか乳首だけで逝ってしまうんじゃないだろうな? 乳首だけで逝かされて賭けに負けたら恥ずかしいぞ」
     振動が臍を通って股間の周辺に移る。秘裂の近くがローターの刺激に晒される。
    「んんっ……もうぅ」
     振動子は秘裂の周囲を脅かすだけで、核心には触れてこようとしない。木内は意地の悪い笑みを口元に浮かべながら、振動子を肉芽の周辺に這わせつつ、乳首に時折軽く触れてくる。
    「どうした、そんなに悶えて? 気持ちいいのは結構だが、逝ったらずっとここに閉じ込められて調教されるんだぜ」
    「だってっ……。ああっ」
    「仕方ないな、ローターを咥え込ませてやろう」
     木内はローターの振動子にローションを垂らすと、奈々美の体内に挿入し始めた。
    「イヤっ、何でそんなとこっ? 何するんですかっ!」
    「ここは未体験かな? 慣れると悪くないもんだぜ」
     振動子は奈々美の後門に押し込まれているのだ。そんなところを弄られた経験はついぞなかった。今まで味わったことのない感覚から逃げようとしたが、椅子に固縛されたままで後門へのローター挿入は避けられるはずがない。奈々美は涙を零しつつも、その微妙な感触を受け入れるしか術はなかった。
    「ふふふ、尻の穴にローターを埋め込まれた気分はいかがかな? 振動子自体はそんなに大きくないから、そこまで違和感はないはずだぞ」
    「イヤ、取って。取ってください……」
    「もう少し愉しんでから取ってやるよ」
     木内は肉芽に息を吹き掛ける責めを再開しながら、両手を上に伸ばして奈々美の両乳首を軽く揉み立て始めた。椅子に開脚縛りされた自分の股間に中年男が顔を埋め、乳首を愛撫している姿を鏡で見ていると、屈辱的でありながらも卑猥で美しいということを認めざるを得ない。乳首から生じる甘い感覚と、後門の異物感に責めさいなまれる中、息を吹き掛けられるだけの肉芽に、舌か指でのタッチが加わったら、その瞬間に逝ってしまいそうな気がした。理性はそれを拒んでいる。
    (ああ、もう何でもいいからクリ触って……)
     叫び出しそうなのを懸命に堪えていた。
    「これだけじゃ気の毒だから、もう少し刺激を加えてやろうか」
     奈々美の切なげな瞳に期待の色が宿る。だが、それはすぐにかき消された。
    「いや、スイッチ入れないでえ……」
    「アナル感覚って悪くないもんだって言ったろ? もっともっと愉しむんだよ」
    「ああ、それ許してください……」
     奈々美が求めている振動はこれではない。だが、この甘痒い違和感は軽揉みされている乳首と息を吹き掛けられる肉芽から生じる感覚を増幅しているように感じられる。だが、今奈々美が望んでいる爆発的な快感は決して得られない。その横で、赤川は肉芽を指で転がされている。
    「ああん、角井さん、もうダメ、ホントに止めて……」
    「なら止めましょうかねえ、赤川さん?」
     角井は肉芽への責めを中断し、代わりに両乳首をひねり回す。
    「んんっ……」
     赤川は拗ねたように美しい眉根を寄せる。下腹部の繊毛は逆毛立ち、サーモンピンクの秘裂はぬめ光り、半分白濁した粘液が脚の付け根付近を濡らしている。
    「ああん、乳首ダメっ。もっと優しくしてえ……」
     角井が乳首を指先で弾いたり、強く摘まんだりし始めると、赤川は抵抗の意を示す。だが、その言葉の調子は屈服の色を帯び始めている。角井は思いっ切り赤川の股間にむしゃぶりついた。
    「ああん、それだけはっ……」
     赤川はそう叫ぶと、顔を左右に振りながらも唇を噛んだ。既に全身からは汗を噴き、下腹部が大きく膨張と収縮を繰り返し、力の入った足指はすっかり丸まっている。
    「うっ……」
     赤川は顔を仰け反らせ、全身を大きく震わせた。腹部はさらに大きく動いている。
    「まさか、もう逝ったんじゃないだろうな?」
     木内が奈々美への責めを中断し、赤川と角井の方に声を掛けた。
    「い、逝ってません……」
    「その反応は明らかに逝ってるぜ。内緒で逝っておきながら、逝ってないフリをしたら、お仕置きが増えるだけだぜ、正直に言いな」
     角井が赤川の顎をつまみながら、自白を迫る。
    「嘘つくんなら、さっきの紅茶をもっと飲ませてやったらどうです?」
     カメラを構えたまま、原が提案した。
    「それも面白いな。角井、持ってこい」
     命じられた角井は冷蔵庫から新たにペットボトルを2本持ち出し、1本を木内に渡した。よく見ると、角井が持つボトルはラベルが赤いのに対し、木内に手渡されたのは黄色いラベルのボトルだった。
    「喉が渇いただろう、もう少し水分補給してやる」
     木内はペットボトルの中身を、また奈々美に飲ませた。喉を鳴らしながらあっというまに中身が空になっていく。一方、赤川は口元に差し付けられたペットボトルを拒み、顔を背けていた。
    「どうしたんですか、喉が渇いてるんでしょう?」
    「……変なクスリ入れたでしょう?」
     赤川は角井を睨み付けた。
    「変なクスリって人聞きが悪いですねえ。あなたがた被疑者を愉しませるものですよ」
     角井がニヤニヤしながら赤川の鼻を摘まみ、無理矢理開けさせた口にペットボトルの中身を流し込む。赤川はむせ返りながらも、注ぎ込まれる液体を飲み干さざるを得ない。
    「何か変なものでも入ってたんですか?」
     奈々美は木内に尋ねた。
    「ああ、媚薬がな。要するに、身体が感じやすくなるクスリが入った特製紅茶だよ。乳首やオ×ンコの感度は1.5倍から2倍になっているはずだ」
    「そんなっ……」
     道理でやたらと身体が火照り、性感が増しているはずだった。その上で、緊縛された女体に焦らし責めと性感刺激を繰り返し、20分も絶頂に達するのを禁ずる。あまりにも責められる側が背負わされたハンデは大きい。奈々美はこの男たちの卑劣さに憤激しそうになった。だが、甘いタッチで乳首を責められると、次第にトーンダウンしてしまう。
    「お前はこの競争が始まる前から責めを受けて身体も準備OKだったが、赤川は違っていたからな、あの女にはお前の倍の濃さの媚薬を飲ませている。少々効き過ぎたかもしれないがね。お前は今媚薬を追加されたとはいえ、まだまだ手ぬるい責めしか加えられていない。その調子で逝かないよう頑張るんだぞ」
     ノートパソコンの画面に目をやると、残り時間は7分あまり。持ち時間の3分の2近くが経過している。
    (あたし、耐えられるかしら……)
     再び乳首がひねり回される。後門への刺激は先ほどから続いている。木内の手が下腹部の繊毛をかき混ぜ始めた。
    「ああんっ……」
    「媚薬が追加されたからといって、そんなに感じてたら制限時間まで持たないぞ。それ覚悟でもっと濃厚接触してもらいたいなら、それでもいいがな」
     媚薬がさらに効いてきたのか、身体の反応が激しくなり始めた奈々美を、木内は嗤った。
    「今度は2点責めだ。逝ったことを認めるまで止めませんよ」
    「あん、ズルいそれ……。うぅんっ!」
     隣では、角井が赤川の肉芽を吸いしゃぶりつつ、秘口に中指を抽送し始めていた。

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