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    拒絶

    「イヤっ、それだけはイヤっ」
    「気持ちいいらしいぜ、これ?」
     川奈は電気マッサージ器のスイッチを入れ、梨絵の乳房に近付けた。すると、彼女は後手縛りの身体を捩り、振動から必死で逃れようとする。背中に繋がれた縄は頭上の梁に繋がれており、川奈の攻撃を避けるには限界がある。
    「何で、これがそんなにイヤなんだ?」
     絶叫しながら電マの刺激に嫌悪感を示す梨絵の様子に呆れ果て、川奈はハーフカップのブラジャーから乳房を剥き出しにさせつつ、訊いた。
    「だって、ラブホ備え付けのマッサージ器なんて、誰が使ったか分からないじゃない……」
    「電マの頭の部分にはビニールを被せられてたし、その中に『消毒済』と書いた紙が入っていただろう? 衛生面では問題ないはずだがね」
     川奈と梨絵が2回目の逢瀬を愉しんでいる新宿にほど近いこのホテルは、部屋の多くがしっかりとした柱や梁を備えた和室だ。吊り責めなどを存分に愉しめるためSMマニアの利用も多く、部屋の衛生管理が行き届いていることで有名だった。備え付けの電マもしっかり消毒されている。
    「イヤ、イヤなものはイヤっ」
     一つ一つのパーツが派手な顔を歪め、梨絵は首を左右に振り立てた。それにつれて上半身も揺れ、ライトブルーのブラカップから飛び出したEカップの乳房が揺れる。脚を必死に閉じているものの、ブラと同色のショーツに生じる皺が、余計に卑猥さを感じさせる。
    「おいおい、あんまり泣き喚くなよ。普段は、自分より6―7歳も年下のハタチぐらいの同僚を教えるのが面倒だとか愚痴ってるくせに」
     苦笑しながら、川奈は両乳首を手指で包み込むようにつまんで揉んだ。嬲られるたびに、薄茶色の乳首は硬度を増す。白い肌は次第に桃色に染まる。年こそ梨絵よりわずか3―4歳年上だが、プレイ経験の豊富な川奈にとって、梨絵のような女を堕とすのはさして困難ではない。
    「なら、電マを直接当てるのは止めてやろうか」
     恩着せがましい調子で言うと、川奈は梨絵の背後でしゃがみ込み、腰に二つ折りにした麻縄を新たに巻き付けた。程よい肉付きの腰は、縄の食い込み方も悪くない。川奈は4重になった縄をいったん腰骨の上で結び、余った縄に3つほど瘤を作った。梨絵の股間を通して身体の前面に持ってきた縄を、腰縄に引っ掛ける。すると、結び瘤がショーツ越しに肉芽とその周辺に当たる。
    「あん、その縄、エッチ……」
    「股縄って言うんだぜ、これ。悪くない気分だろうが」
     川奈は縄を小刻みにクイクイと引っ張り、梨絵を喘がせながら嗤った。股縄を引きながら、乳首を指で揉み転がすと、梨絵は「イヤっ、イヤっ」と時折漏らしつつ、喘ぎ声のオクターブを上げる。
     しばらく股縄で梨絵を嬲った後、川奈は畳の上に転がっていた電マを再び手に取り、スイッチを入れた。
    「イヤです、それ……」
    「アソコに直接当てなきゃいいんだろ?」
     川奈は左手で股縄がピンと張るまで引っ張り、右手に持った電マの振動をあてがった。
    「イヤ、イヤぁ……。ダメ、それだけは許してぇっ……!」
     たちまちのうちに全身に汗を浮かべながら、梨絵は叫んだ。股間から延びた縄が電マの淫靡な動きに晒され、ショーツの上から股間に食い込んだ結び瘤も振動する。川奈が振動を、左手に握った縄から股間近くに徐々に移動させていくと、肉芽への刺激はさらに強さを増し、梨絵の感覚を追い詰めていく。振動が強められると、梨絵の唇からは図らずも涎が滴り、呼吸は荒くなって喘ぎ声のピッチが断続的に速まる。
    「ああっ、それ凄すぎるっ! いいい、もう梨絵おかしくなっちゃうぅ……」
     全身を小刻みに震わせ、梨絵は顔を歪めて上半身を仰け反らせる。だが、川奈は電マを縄から外した。
    「どうして止めるのぉ……。意地悪、意地悪ぅ……」
     梨絵はパッチリした双眸にうっすらと涙を浮かべ、川奈に抗議した。
    「だって、電マはイヤなんだろう? こんなんで逝かされたら、女として恥ずかしいぜ」
     川奈は両乳首を交互にチュッと吸って梨絵を呻かせた後、顔をのぞき込んで意地悪く微笑んだ。
    「それはイヤじゃない……」
    「パンツの上から電マを当てても、一緒だろうが」
    「だって、刺激が強すぎるんだもん……」
    「消毒済かどうかが気になるってのは口実で、電マだとすぐ逝っちまうから、避けようとしたんだな?」
    「……」
     梨絵は俯いた。
    「ホントは電マ使ったことあるんじゃないのか? 正直に言えば逝かせてやるぜ」
    「前の彼氏と……」
    「やっぱりそうじゃねえか。電マだと、逝くまでの過程をゆっくり愉しめないから、イヤなんだろう、ん?」
     梨絵のおとがいをつまんで上向かせた顔をのぞき込みながら、川奈は重ねて問い質した。
    「そうなの……。ああ、もう早く逝かせてっ。たまんないのよ、股縄に電マは……」
    「心配しなくても、そうしてやるぜ。ただし、電マはこれが最後だ。おれの指や舌の方が、ずっと気持ちいいってことを、たっぷり教えてやるからな」
    「ああ、お願いします……」
     川奈は再び股縄を張り、そこに振動を最強にした電マをあてがった。
    「あぁっ、もうダメっ。許して、ああああ……」
     梨絵はあっという間に絶頂に導かれた。だが、一度縄から逸れた振動は、再び梨絵の股間を襲った。
    「続けてなんて許してっ。許してぇ……」
     梨絵は目を細めながら、上下の歯を食いしばった。
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