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    絶縁(「注文」完)

     バスルーム出てLDKに戻された後、恵理は縄を解かれ、下着を剥かれた。炭谷も着衣を脱いでいる間、自由になった手で胸を隠してその場に蹲ろうとしたとき、両腕はまた背中に捩じ上げられ、腰の上で交差させられた両手首に縄が絡んできた。
    「もうこれ以上は許して……」
     露わになった乳房の上に縄を掛け回されながら、恵理は弱々しい声で訴えた。水責めで体力を失わされ、秘所への指弄で数回絶頂に追いやられ、精神力もあらかた奪われてしまっている。要所要所を的確に締め付けてくる縄が、わずかに残った憤りと反発心を徐々に削いでいく。強烈な羞恥責めと拷問、そして今再びの緊縛がもたらすどす黒い快感への予感が、均整の取れた白い身体を覆い尽くそうとしているものの、頭の隅では絶えず炭谷との別れを意識していた。他人の前で女としての最大の恥を晒させられたことだけでなく、顔の前に湯が迫ってくる恐怖は、決して忘れることはできまい。しかし、その恐怖を上回る快楽に最終的には屈してしまうことが、口惜しくてならなかった。
     再び鎖付きの首輪を嵌められた後、背中をドンと突かれた。
    「いたっ」
     ベッドに倒れ込んだ恵理が背後の炭谷を睨み付けようとしたとき、鎖が引っ張られた。マットレスの上に移動した炭谷は、鎖をベッドの頭部にある桟に結び付けた。後手縛りのまま俯せに固定された恵理の腰を抱え上げると、素早くコンドームを着用させられた炭谷の怒張が秘裂に押し入ってきた。
    「ダメっ、もうしないでっ」
    「おれはまだ逝ってないんだぜ。それにもう濡らしちまってるじゃねえか。さっきから何度も逝ったくせに、もう準備万端だな、あん?」
     恵理の身体反応を皮肉りながら、炭谷はゆっくりと逸物を奥に侵入させてくる。恵理の蜜壺は指を二本挿入されると痛みを感じるほどの狭さだが、炭谷の人一倍太い逸物がそれを徐々に押し広げる。先端が最奥に到達すると、恵理は思わず「あふん」と呻き声を上げた。
    「エロい声、上げやがって」
     恵理の反応に刺激されたのか、怒張の先端が一瞬脈打った。恵理はさらにエロい声を発した。怒張が大きなストロークでゆっくりと抜き差しされ始めた。
    「あああっ!」
     秘裂から熱い粘液が湧き出てくると、よがり声が手放しになってきた。濡れた音が恵理の耳にも聞こえてくる。すると、ストロークの幅が小さくなり、小刻みな抽送が繰り返される。
    「うぅん」
     鎖に繋がれた恵理の横顔が不満げに歪む。小刻みな動きの中に、不規則に奥を突く動作を加えられると、恵理の喘ぎ声も変調していく。彼女が抵抗を放棄したのを見て取ると、炭谷は再び小さなストロークのみを繰り返す代わり、乳首をひねり回したり、肉芽を擦ったりし始めた。屈服した女の性感をさらに煮詰まらせ、余計進退窮まらせようとしている。
    「クリ気持ちいいっ」
    「なら、ずっとこうしていてやろうか?」
     あくまで抽送はゆっくりとした動きを保ちながら、炭谷は言わずもがなの問いを口にした。
    「も、もっと……。イヤ、クリばっかりいじめないでっ」
     肉芽を軽く捻られ、恵理は叫んだ。
    「クリで逝っちまうか?」
    「ダメっ、もっと突いてっ……! 奥までっ」
    「どこの奥を突いてほしい?」
    「オマ×コの奥っ。オマ×コで逝きたいの……」
    「オマ×コを連呼すんなよ、一回言えば分かるぜ」
     炭谷は恵理の望み通り、二度続けて秘裂を思い切り突いた。
    「お願い、してえ……」
     腰の動きを止めた炭谷に、恵理は哀願した。既に白い身体は紅潮し、自ら腰を蠢かせて炭谷の怒張を奥まで呼び込もうとすらしている。炭谷は桟に結び付けた鎖を解き、片手で恵理の髪を掴んで顔を上げさせると、一転して激しく腰を突き入れ始めた。肉を打つ音が粘液の混じり合う音をかき消した。
    「うぅっ、ひぎっ。あはんっ、あんっ!」
     炭谷が髪から手を離すと、恵理は顔を左右に振りながら、抽送に合わせて腰を前後させた。秘肉は最大限に膨張した逸物を締め付ける。粘度を増した蜜でくるみ込む。震えが走り始める。それは秘肉だけではなく、恵理の身体全体に波及する。
    「イヤっ、もう堪忍してっ。はん、あぐぅ、はああん……」
    「こいつを喰らえっ」
     絶頂寸前の恵理の姿に、炭谷も最早冷静ではいられなかった。腰を思い切り律動させ、怒張の先端を体奥に擦り付けた。
    「ああん、逝くっ、いっくぅっ……。ああああ……!」
     髪を汗で濡らし、うっすら絖光る全身を痙攣させながら、恵理はその日最大の屈服を体現していた。思わず、炭谷も最高潮に高まった興奮を解放させた。怒張の先端が震えるのを、恵理は悩乱の中で確かに感じ取っていた。

     段ボールはあらかた畳まれていた。冷蔵庫や洗濯機などの大型家電製品は引っ越し業者が設置してくれた。衣類を衣装箱とクローゼットに収納し、わずかな本やCD、DVDを棚に収めると、大きな荷物はなかった。後は、この日に合わせてネットで注文していた玄関用マットが配達されるのを待つだけだ。恵理は小さく息を吐いた。
     炭谷に屈辱を味わわされた数日後、有休を取った恵理は、急いで手配した引っ越し業者に、経堂の部屋の荷物を全て運び出してもらった。荷物は埼玉県内の実家に運び込まれ、恵理はウイークリーマンションに移った。区役所で、住民票を第三者が閲覧できないよう手続きし、携帯電話番号とメールアドレスを変更した。勤務先には、ストーカー被害に遭っていると話し、自らの個人情報が漏れないよう手を打ってもらった。
     全ては炭谷と絶縁するためだ。あんな恐ろしい男との関係を続けるのは懲り懲りだった。炭谷とのプレイを事細かに話すのは躊躇われたため、警察への相談は思いとどまったが、幸いなことに、炭谷が恵理の行方を追っている形跡は見られなかった。一月ほど経ち、恵理は部屋探しを始め、豊島区内の賃貸マンションへの入居を決めた。
     時計を見ると、17時を回っている。テーブルの配達時間は16時から18時の間に指定されていたので、それが届いたら近所をぶらつきつつ、どこかで夕食を摂るつもりだった。そのとき、インターフォンが鳴った。誰何すると、配送業者だった。念のため荷物の依頼主を確認し、恵理はオートロックを解除した。ドアフォンが鳴り、ドアスコープで外をのぞき見ると、包装されたマットを抱えた配達員が立っていた。
    「すみませんね」
     恵理が配達員を招き入れると、配達員はマットを渡した。
    「受取票はあります?」
    「いや、荷物はもう一つあるんですよ。ちょうど今日届いたので、一緒に持ってきました」
     小さな包みが手渡され、戸惑いつつも恵理は受取票にサインした。包みの方を見ると、送り主は実家の母親の名前となっている。ガムテープの封を剥がして包みを開けると、青い首輪と鎖が姿を現した。
    「イヤああっ!」
     恵理は短く叫んだ。すると、テーブルの上に置いていたスマートフォンが鳴動した。恐る恐る差出人を確認すると、見覚えのあるメールアドレスが表示されている。メールを開くと、全裸後手縛りの恵理が髪を掴まれ、呆けた表情を晒している。先ほど届いた青い首輪を嵌められ、鎖が乳房の間に垂れていた。
    「どうしてよっ……」
     恵理はスマホを手にしたまま、その場にへたり込んだ。メールの本文を読む勇気はなかった。喉がひくつき、涙が頬から首を伝い、鎖骨の上で小さく弾けた。同時に身体のどこかがわずかに熱を帯びてくるのを、恵理は認めたくなかった。
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