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    突り

     何か冷たく尖った物が淫裂をなぞる感覚に、朋香は呻いた。
    「ん……」
     思わず脚を閉じようとしたが、固い縄目に阻まれた。両膝の裏側に横に宛がわれた太い竹棒に縛り付けられているのだ。身体を捩ろうにも、厳重な後ろ手胸縄縛りの上半身を天井から伸びるフックに繋がれている。30半ばにしては贅肉が少なく均整の取れた朋香の身体は、薄桃色の長襦袢に包まれたまま人の字縛りにされているのだ。
    「まだ何もしてないよ。ここをこんなに尖らせちゃってどうしたのかな?」
    「いっ……」
     上橋の太い声とともに耳穴に息が吹きかけられる。嘲笑めいた言葉に反発しようとすると、充血した乳首に軽い痛みが走った。指先で弾かれたに違いない。朋香は黒い手拭いで目隠しされた顔を仰け反らせて喘いだ。視界を覆われる前に、密かに形の良さを誇る乳房が縄目に絞り出される無残な姿を鏡で見せられたのを思い出し、羞恥心が湧き上がってきた。
    「勃起した乳首をナメナメしてやるから、こいつをもっと楽しむんだ」
     ブチュッという音とともに乳首が根元から吸い上げられる。先端を舌先で舐め転がされる。それだけでも身体の芯が熱を帯びてくるのに、肉芽の周囲を細い物でつつき回される。背筋に電流が走るような錯覚に襲われる。
    「ああんっ!」
    「嫌いじゃなさそうだね、こういうの」
     肉芽が尖った物でこね回されているようだ。
    (針? 綿棒? 何なの、この感覚?)
     朋香は昂ぶりとともに湿った吐息を漏らしながら、的確に肉芽を刺激してくる物の正体に考えを巡らせた。その間にも、何やら細い物の動きは小刻みに速度を上げてきているようだ。断続的に舐め転がされる乳首の根元を甘噛みされる。肉芽と乳首に加えられる感覚に負け、熱い滴が太腿を伝い落ちるのを自覚した。その瞬間、朋香の体内で燻っていた炎が一気に燃え盛った。
    「ダメっ、気持ちいいっ!」
     意識せずとも腰が前後に揺れる。視界を遮られているのも相まって、50男の責めはいつもより直截的に性感を加熱させられている。
    「おっと、こんなんで逝っちゃったらつまんないよ」
     肉芽への刺激が遠のき、乳首からも唇が離れたようだ。その代わり耳たぶやわき腹が擽られ、首筋や背中に舌や唇が這わされる。露骨な焦らしだった。だが、それなりの男性経験を経たバツイチ女の身体は刺激に弱すぎた。
    「あんっ、意地悪しないで……」
    「どうしてほしいんだ?」
     次の瞬間、生臭い匂いが鼻を衝いた。
    「これ、朋香が漏らしたのだよ。オマ×コがこの熱いので溢れてる。イヤらしいなあ」
    「イヤっ、イヤっ」
     朋香は顔を背けたが、股間を上橋の指が彷徨ったかと思うと、再び生臭い匂いが鼻先に突き付けられる。唇に指が押し入ってくる。
    「おれの指がこんなに濡れちゃったよ。きちんと舐め取るんだ」
     羞恥に顔を火照らせながら、上橋の指に付着した自らの愛液を舐めていると、肉芽が柔らかい感触に包まれた。
    「ん……うぅふん」
     先ほどの細い物とは異なった感覚だった。
    (筆かしら……?)
     刺激は優しい。だが、筆先のような柔らかさに比べて異質に感じられた。上橋の筆責めで逝かされたことは何度かあるが、今の刺激は性感を昂ぶらせはするものの、勢いづかせるには弱すぎるように感じた。
    「あん……もっと……」
    「もっとこうしてほしいのか?」
     朋香はかぶりを振った。
    「こっちの方がいいんだな?」
     再び尖った物が肉芽に押し付けられた。根元の方を丹念に何度も軽く突かれた後、先端のあたりがこね回されるのが分かった。体内の感覚が急激にせり上がってくる。
    「ああ、気持ちいいっ! ダメっ、ダメになっちゃう……」
     朋香は顔を振り立てながら、不自由な身体を悶えさせた。乳首は噛まれ、舌で弾かれる。その間にも、肉芽への刺激はどんどん鋭くなり、思わず朋香は腰を前後させた。人の字縛りのため、刺激を逃がすことができず、その分昂ぶりが煮詰まるのが早い。身体の芯が沸騰する。
    「もう許してっ! 逝きそう……」
    「縛られてクリをチョコチョコ弄られただけで逝くのか? 恥ずかしい女だね」
    「ごめんなさいっ! ああん、逝かせて」
    「エッチだねえ」
     その瞬間、背筋が強い電流に貫かれた。
    「逝くっ……逝っちゃう! ああんっ」
     身体が勝手に痙攣した。足を踏ん張っているのが精一杯だ。唇の端から涎が垂れ落ちた。
     荒い息を吐きながら絶頂の余韻に浸っていると、目隠しが取り去られた。
    「こんなので逝かされちゃったんだよ、朋香は。度を超したスケベだよね?」
     髪の毛を掴まれ、目の前に突き付けられた物を目にした朋香は、得心がいくと同時に、羞恥心が再び湧き起こされた。それは梵天付きの耳かきだった。
    「これ、何に使う物?」
    「……耳掃除」
    「そうだ。これにローションを付けて、クリちゃんを掃除してやったのさ。そんなんで逝っちゃうなんて恥ずかしいよね?」
    「だって……」
    「朋香は耳かきでも逝っちゃうはしたない女ですって言いなさい」
     上橋は乳首を揉み転がしながらイヤらしく歪めた顔を朋香に向けた。
    「……朋香は耳かきで逝ってしまったはしたない女です……」
    「そんな女にはお仕置きだな」
    「許して……」
     朋香は上橋の視線から目を逸らした。
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