ベッドの縁に腰を下ろした沢本は、わずかに脱色した奈津子の長い髪を掴み、顔を晒し上げた。恨めしげな視線を沢本に投げかけるが、切れ長の目はすぐに油を流し込んだような目つきに変わった。
「この後はお願い、ベッドに連れて行ってください…」
風呂上がりに着たバスローブ姿のまま、麻縄で高手小手に縛り上げられ、ラブホテルの床に横座りとなった奈津子は、沢本に哀願した。沢本はバスローブの前袷を左右に開き、上下を縄でくびられて飛び出した乳房を愛撫しながら応じた。
「もう抱いて欲しいのか?昔に比べて随分せっかちになったじゃないか」
「だって…」
奈津子は緊縛された上半身を左右に捩りながらむずかった。身悶えているのは、沢本の指が乳首を巧みに転がしているせいだけではない。久方ぶりに味わう麻縄の感触と緊縛の厳しさを存分に確認するためでもある。そして、縄目の肌への食い込みを感じるたび、奈津子の体奥はさらに熱を帯び始めるのだった。
「奈津子の身体、おれが日本にいない間にどんな進化をしたのかな」
沢本の海外転勤で、奈津子と別れてから5年。当時20代だった彼女は30代前半の女盛りとなり、沢本は不惑の年を迎えようとしていた。このほど帰国して彼女と再会するまでの期間、奈津子が何人の男に乳房を許したのかは分からない。既に人妻となっていたが、夫の人となりについてはあえて詳しく訊かなかった。そんなことより、確かめたいことがあるからだ。沢本は右足を奈津子の股間に忍び込ませた。わずかに抵抗する気配はあったが、本気で拒んでいるわけではない。彼の足指は奈津子の茂みが絡んでくるのを感じていた。
「あぁっ、指なんか入れないでぇ」
「もう口の利き方を忘れたのか。『入れないでください』だろうが」
沢本はつかみ上げた奈津子の髪を揺さぶった。
「なら、こういうのはどうだ?」
「あん、つまむのも…嫌です」
「おかしいな、こういうの嫌いじゃなかった気がするけどな」
嗤いながら沢本は足指に若干力を込めた。
「ううん、意地悪っ」
「おっと、つまんでるとすぐ外れちゃうな。やっぱり、この方がいいか」
再び足指は奈津子の中への進入を開始する。リズミカルに動く足に合わせ、奈津子の腰も上下に律動し始めた。白い顔をうっすらと桃色に染めた彼女は、唇を舌で舐め回しながら叫んだ。
「屈辱的だけど…気持ちいいっ!あっ、あっ、あん…」
「こんなんで逝っちまったら、面白くないだろう。もっと愉しんでからじゃないと、許さないからな」
沢本は奈津子を床から引き起こして隣に腰掛けさせ、唇を重ねた。舌を奈津子の口の中に差し入れると、彼女は勢いよく吸い返してきた。背中で束ねられた手を握りながら、乳首をやわやわと揉み上げると、「ううっ」と唸りながら、ますます激しく沢本の舌を吸い込もうとする。
「さ、約束通りもっと愉しませてやるぜ」
唇を離すと、沢本は奈津子の両肩を押してベッドに倒した。優しげな態度を翻した沢本を一瞬睨んだが、彼はその視線をさり気なく外しながら、彼女をうつぶせにした。そのまま両脚を交差させて足首を縛り、背中の縄につないだ。足首と背中を結ぶ縄は引き絞られており、股間が無防備なまま身動きはできない。「逆海老縛り」というものだ。
「この縛りも大好きだったよな」
沢本は奈津子の尻の方から、中指を蜜壺に侵入させた。
「あうぅ…」
「すんなり入るじゃないか。どれだけ濡らしてやがるんだ?」
奈津子の谷間が既にぬらぬらとした光を湛えていたことを知っていながら、沢本は揶揄した。彼は指を奥まで突っ込んで奈津子を一度大きく呻かせた後、しばらくは浅瀬への刺激だけにとどめていた。
「あっ、あっ、もっと…」
「もっといたぶって欲しいんだな?おれもそのつもりだぜ」
沢本は指を引き上げる動きを示した。
「そんなの駄目です…。もっと深く、お願いしますっ」
「思い出した、こういうのも嫌いじゃないんだったよな」
今度は人差し指と中指を挿入した。しばらくは内部の熱さと絡みつく肉の感触を味わうようにゆっくりとした抽送を繰り返した後、中指を蜜壺の奥に、人差し指をGスポットにそれぞれあてがった。2つのポイントを押さえた指に振動を加えると、奈津子は不自由な腰を懸命に揺さぶり始めた。
「それされると…あああっ!」
「こうされるとどうなるってんだ?」
「すぐ逝っちゃうんですっ。分かってるくせに…。あはん、はああん」
奈津子の呼吸は明らかに荒くなり、腰だけでなく後ろ手に縛り上げられた上半身までもが蠢き始めた。沢本が振動を強めると、
「逝ってもいいですか?あぁ、本当ににだめえ…」
全身から汗を噴き出しながら、奈津子は呆気なく果てた。沢本は彼女に呑み込まれた2本の指が締め付けられるのを感じた。
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