わざと猫がミルクを舐めるような音を立てつつ、耳の穴に舌を差し入れ舐め回す。彼女の三半規管は卑猥な空気の震えを感じ取っているはずだ。
「あん、イヤらしい…」
「昨日も旦那にイヤらしいことされたんだろ?」
彼女はあるきっかけで知り合った20代後半の人妻。おれに出逢わなければ、週末の昼下がりから渋谷のラブホテルで恥をさらすことはなかっただろう。桜のつぼみが花開きかけた季節、彼女はキャミソールとショーツだけを身に着け、洗面所の鏡の前に立たされている。上半身は高手小手に麻縄で縛り上げられ、その日初めて顔合わせした男が後ろから取り付いている。
「あの人はこんなにネチっこくない…」
「ネチっこいってのは、こういうのを言うんだぜ」
おれはキャミソールから両方の乳房を露出させ、指でつまんだ。乳うんの辺りを円を描くようになぞったり、中指の腹で乳首の先端を撫で回したり、人差し指と中指の背中で乳首を挟み、充血したところを親指で繰り返しはじいたりした。乳首に指が触れるたび、打てば響くような嬌声が彼女の口から漏れる。
「すごいエッチな格好…。でも、綺麗かも」
半裸で緊縛されて嬲り回される自らの姿に、ナルシズムを刺激されているのだろうか。鏡の中で彼女のかすんだ目とおれの視線が交錯する。おれは彼女の髪をわしづかみにして乱暴に揺さぶった後、ショーツの尻の部分から手を忍ばせる。
「結婚する前に働いてたとき、電車の中で痴漢とかされたことない?」
「イヤ、そんなこと訊くの」
ショーツの二重底となった部分を中指がさまよい、やがてしこり立っている部分を探り当てる。彼女の声が透き通り始めると、指はそれに励まされるように突起に振動を加える。彼女の視線は時折、股間の辺りをうごめくおれの指に吸い付けられるようだ。
「痴漢なんかより、この方が気持ちいいのかな?」
「ああん、全然違うわ」
最初はショーツの上から、自分でもじれったくなるくらい優しく肉芽を刺激した。その後、人差し指と中指を揃えてそいつを押さえ、激しくバイブレーションを与える。もちろん、片方の手は乳首をコリコリ愛撫している。彼女の全身が小刻みに震え、あごが突き上げられる。
「ダメ、もう逝っちゃう」
初体験の緊縛姿を鏡の前に晒された刺激が強すぎたのか、彼女はあっという間にアクメに達してしまった。肩で息をしながら、上半身を折って顔を横に向けて洗面台に突っ伏す。おれは崩れ落ちそうな腰を平手で何度か叩いてやる。
「もう…。このままちょうだい」
「犯されたいのか?」
「きたさんのが欲しい…。あぁ、早くぅ」
はち切れんばかりの怒張に、おれは包みを被せた。彼女の腰を突き上げさせてショーツを引きずり下ろし、ブツを突き入れる。興奮度が相当に激しいのか、彼女はおれをきつく締め上げてくる。おれは締め付けに対抗すべく、腰を大きく前後させる―。
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