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    「ひと刷き」(「フットルース」②)

    (↓前回の話)
    http://ropeandcabbageroll.blog.2nt.com/blog-entry-12.html

     乳輪のあたりを巡るように舌がチロチロと蠢いた後、唇が乳首の先端を啄むようなキスを繰り返す。双方の乳首にそのような愛撫を続けながら、右手の指先は毛叢をかき混ぜ、鼠径部を撫で回す。先ほど絶頂に達した後、落ち着きを見せていた柚香のそこは再び熱を持ち始めた。
    「あんっ、もっと……」
     椅子縛りからは解放されたものの、上半身の縛めはそのままにベッドに転がされた柚香はむずかった。両脚は既に開かれているのに、工藤は再び意地の悪い焦らしを継続している。
    「さっき逝ったんだからいいだろ? もう少し愉しめよ」
     乳首の根元が軽く噛まれる。それだけで背筋に電流が走り、秘裂からは熱い雫が垂れるのを自覚しながら、柚香は顔を赤くして羞じ悶えた。すると、工藤の中指が唇に割り入ってきた。
    「うむぐっ」
    「ほーら、おれの指をチ×ポだと思って舐めるんだ。でないと、もう逝かせてやらないからな」
     自らが漏らした淫液の味と臭いが口の中に広がってくる。その羞恥に耐えつつ、柚香は懸命に指に舌を絡ませ、唇で吸った。粘膜が肌に擦れる濡れ音が淫猥に響き、工藤の剛直を口唇愛撫するときよりも恥ずかしさに嘖まれた。
    「ダメだ、舐め方が甘いな。こんなんじゃ、もう触ってやらないぞ」
    「そんな……お願いですから」
    「しょうがないな、こいつで我慢してもらおうか」
     ベッドの宮の上に並んだローターやバイブなどの責め道具の中から、工藤が持ち出して見せたのは筆だった。先ほどまで、柚香の足指や甲を擽っていた書道用だ
    「それはイヤっ! ああんっ……」
    「イヤとか言いながら、その声は何だ、あん?」
     工藤は乳首を舐め転がしながら、筆を秘裂に沿って這わせてくる。鼠径部を撫でさすり、溢れる蜜をすくい取ったりしながら、既に充血している肉芽の周囲を回遊している。
    「ああ、もっと気持ちいいところ……んふんっ……」
    「十分に気持ちいいんだろ? 柚香のスケベな臭いが漂ってきてるぜ」
    「イヤ、ク、クリ……」
    「ちゃんと言わないと分かんないよ」
    「クリトリスを触ってくだ……さ……い」
     最後の方の言葉は聞き取りにくくなっていた。
    「最初からハッキリ言えば、焦らされなくて済んだのにな」
     次の瞬間、肉芽に筆先の一刷きが舞った。
    「ひぃっ」
     筆に肉芽を数回繰り返して転がされた後、工藤は言った。
    「どうせなら、クリちゃんをムキムキにしてやるぜ」
     左手の人差し指と中指で肉芽の両側を押さえ、包皮から露頭させた肉芽の先端を筆が走り抜けた。
    「あはんっ!」
    「ムキムキのクリを筆でコチョコチョされる気分はどうだ?」
     神経の塊を繊細な筆先に擽り回され続け、柚香は緊縛された上体を反らせ、開きっぱなしの両脚を突っ張らせた。執拗な筆責めに肉芽への感覚が鈍ってくると、筆先は蜜壺から溢れた淫液に浸されて尖り、肉芽の根元の周囲を回る。先端に筆先を押し潰すように圧迫される。体内の熾火は大きな炎となって全身に広がってくる。だが、もう一段の爆発をもたらすにはわずかに至らなかった。
    「ほら、また逝っていいんだぜ」
     左手の指が勃起しきった柚香の乳首をひねり回す。筆が強く押し付けられる。かと思うと、肉芽の先端を軽く擽るような愛撫に切り替わる。筆責めは緩急自在に柚香の性感を炙り立てていく。
    「あんっ、もう許してっ!」
    「もう逝っちまうのか?」
    「違うっ、逝けないのっ」
     柚香は叫んだ。
    「さっきから筆で優しくいじめてやってるじゃないか、クリちゃんを?」
     筆の愛撫は続いている。
    「筆じゃダメなのぉ……。クリ舐めてっ、触ってくださいっ!」
     目尻からは涙が一筋流れてきた。汗まみれになった身体が捩られる。
    「筆でコチョコチョじゃダメか? お前、自分がどんな恥ずかしいこと口にしてるか分かってるのか、あん?」
    「意地悪しないで、お願い……あああんっ!」
     筆の軸の先端が肉芽を軽く押し始めた。筆先の柔らかい愛撫と違い、比較的固い竹がリズミカルに触れてくる感触に、柚香は全身をのたうち回らせて応じるしかなかった。
    「んひっ! それ気持ちいいっ……」
     軸の先端が露頭した肉芽をこね回す。乳首は指先で揉まれ、引っ張るように摘ままれる。肉芽が再び規則的に押されると、柚香の喘ぎ声は切ない調子から開けっぴろげに快楽を訴えるトーンに変わる。
    「あんっ、ダメっ! 逝く、逝っちゃうっっ……!」
     柚香は身体を仰け反らせ、腰を震わせた。乱れた呼吸を整える間もなく、より強い感覚が秘裂を包み込む。
    「イヤっ、入れちゃイヤっ」
     筆の軸が肉壺に押し入ってくる。
    「まさか、こんな細いのが気持ちいいなんてこと、ないよな?」
     抽送が開始され、軸の先端がGスポットを着実に突き上げてくる。ここの感覚は工藤が開発したものだけに、柚香を追い込むポイントは把握されている。
    「そこダメですっ……。ああ、また逝っちゃうぅ、工藤さん許してっ! んんっ……ひぃっ!」
     真っ赤にした顔を振り立てながら、柚香は腹を波打たせ、不自由な肩を上下させている。
    「エッチだなあ、柚香は」
     あっという間に絶頂に引き上げられた柚香を見下ろしながら、工藤は嗤った。
    「んぐっ、イヤぁ……」
     喘ぎの絶えない愛らしい口に筆の軸が押し込まれる。
    「クリとオマ×コで逝かせてくれたこの筆に感謝するんだよ」
     唇に咥えさせられた筆がゆっくりと抽送され始めた。柚香はわずかに塩気のある淫液にまみれたそれを、舐めしゃぶるしかなかった。
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