奈々美は吊りから解放され、縄を解かれたものの、すぐに後ろ手錠を掛けられた。奥にある檻付きの部屋に連れて行かれ、床に座らされた。
「しばらくここで反省してなさい」
赤川は奈々美の頬を軽く張ると、偽刑事たちは牢獄を出て行った。奈々美は床に座り込んだまま、涙を零した。汚れた顔を拭くことも出来ず、30分ほど呆然としていた。
(早く帰りたい……)
勤務先の会社には赤川が親族を装い、体調不良によって急遽休む旨の連絡を入れたという。だが、ここからいつ解放されるかは分からない。バッグは奪い取られたままで、後ろ手錠を掛けられている中、はだけられたブラウスを直すこともできない上、パンティも脱がされたままだ。あの4人はいつ戻ってくるのだろう? その時にはさらなる陵辱を受ける可能性もあるが、このまま狭い牢獄に閉じ込められたままでも気が狂いそうだ。
目の前の鉄格子に近付いてみると、鉄格子の扉の閂を固定しているはずの南京錠が、きちんと嵌まっていないことが分かった。奈々美は鉄格子に背を向け、後ろ手で閂をずらしてみた。扉は肩で押すと簡単に開く。奈々美は檻から出ると、拷問部屋の扉に耳を付けた。外から音はしない。扉のノブを後ろ手で慎重に回してみる。
「反省しろって言わなかった?」
腕を組んで扉の前に立っていた赤川に突き飛ばされた。
「痛いっ」
頬を張られ、床に押し倒された。馬乗りになった赤川が奈々美に顔を近づけ、唇を重ねようとする。
「何するのっ?」
「あんたみたいなオンナ、虐めたくなるのよね。屈服したように見えて、しぶとく刃向かってくる。どんどん堕としてやりたくなるわ」
唇を割って舌が差し入れられる。歯ぐきや歯の表面を舌でなぞられ、奈々美は顔を左右に振って逃れようとする。乳房が優しく揉まれ出すと、抵抗する気力が削られてくる。
「もう帰して。お願いよ……」
「帰すのはもう少し後だな」
声の方に視線を向けると、木内ら3人の男が立っていた。角井が赤川を奈々美から引き剥がす。原と角井に押さえ付けられた赤川は、奈々美と同じように後ろ手錠をはめられた。
「止めてっ、何であたしが?」
「この女に復讐したいのは分かるがな、勝手な真似は許されないんだよ」
木内が赤川を見下ろしながら告げた。
「お前、この女が逃亡を図るように、南京錠を掛けなかっただろう? おれたちもそのことに気付いてたけど、あえて見逃したんだ」
「この女が逃げ出そうとしたところを捕まえて、一人でいたぶる気だったんだよな? おれたちに対する背信行為だ」
角井や原も口々に赤川を責め立てる。
「そ、そんなつもりじゃないのよ。ただ、この女をもう少し懲らしめたかっただけ」
「そんな言い訳、今さら通用すると思うなよ。この女の処遇はおれたちが決めるんだ。お前にもお仕置きをしなければな」
木内の口調は冷たかった。奈々美は唖然としながらこの間の経緯を見つめていた。
「どうだ、今の気分は?」
木内は奈々美に尋ねた。
「恥ずかしいです、こんな格好……」
俯きながら奈々美は答えた。赤川が捕まった後、2人とも服を剥ぎ取られ、麻縄で後ろ手に縛り上げられた。赤川は抵抗したが、3人の男たちに力では敵うはずがなかった。奈々美は毒気を抜かれてしまい、裸に剥かれる際もはかばかしい抵抗はせず、大人しく縄を打たれた。しかし、肘掛け椅子に座らされ、畳まれた両脚を肘掛けに固定される際は抵抗したが、無駄だった。
逆に、赤川は上半身を縛り上げられてからは大人しくなり、奈々美と同じ姿勢で肘掛けに固定される際も抵抗らしい抵抗は見せなかった。そして、2人は椅子開脚縛りの格好で、1.5メートルほどの距離で向かい合わされた。お互いの顔を見ることは出来なかった。
「今井奈々美、もう解放してほしいか?」
奈々美は弱々しく頷いた。
「早ければ、あと20分ほどでここから出してやろう」
思わず奈々美は木内を見上げた。
「ルールは簡単だ。20分間、おれたちに責められて逝かなかったら許してやる。逝ったら解放しないだけじゃなく、あらたな仕置きをすることになる」
「ほ、本当に20分耐えたら帰してくれるんですね?」
「無論だ。ただし、逝ってるのに逝ってないフリをしても分かるんだぞ。そんな真似をしたら、何日もここに閉じ込められるんだ。分かったな?」
「はい……」
奈々美は小さな声で返答した。それに頷くと木内は赤川に言った。
「そして赤川、お前にも同じ責めを加えてやる。これは、おれたちを出し抜いてこの女を責めようとした罰だ。20分間で逝ったら、お前もここで延々と拷問されることになる。ただし、耐え抜いたら今日のことは不問に付す」
木内を睨み付けていた赤川は、そっぽを向いた。
「不服のようだが、まあいい。この格好で抵抗できるはずがないってことは、お前もよく分かっているだろうからな。喉が渇いただろう」
原と角井がそれぞれ500ミリリットルのペットボトルに入った紅茶飲料を奈々美と赤川の口に突き付けた。
「大人しく飲んでおけ。水分補給は大事だぞ、これからまた体液を身体中から垂れ流すんだからな」
2人の女は口を開かされ、ペットボトルの中身を注ぎ込まれた。奈々美はこんな男に紅茶を飲まされるのは屈辱だったが、ほどよく甘い液体は全身に染み渡るように感じた。普段より柑橘系の風味が強く思われたが、木内の心遣いに感謝したくなるほどだった。
| ホーム |
page top
コメントの投稿