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    「悪戯」(「提案」⑦)

     知佳が紗菜の鼠径部にキスをし始める。一方、両方の乳房には、2人のマスク男が取り付き、乳首の周囲を舐めたり、乳房そのものを揉んだりしている。井口は時計を覗き込みながら、ほくそ笑んでいる。
    「ああ、恥ずかしい、止めてえ」
     井口が紗菜の髪を掴み、顔を正面の鏡の方に向かせる。後ろ手に縛られ、開脚した格好で吊られた自身の姿が映し出されている。その上、乳房は2人の男が分け合うように愛撫され、股間には後ろ手に縛られた女がキスの雨を降らせている。背後で規則正しく並列に掛けられた知佳の縄目を見ると、自らの縛られ姿も美しいものに思えてくるのが口惜しい。
    「うぅっ……」
     両乳首が大きな音を立てて吸いしゃぶられる。知佳も舌を鼠径部から秘裂の方に移動させてくる。
    「縛られてイヤらしいことをされてる自分の姿、綺麗だと思わないか? 美人の紗菜さんをもっと魅力的にしてくれるんだよ、縄は」
     そんな褒め方をされても全く嬉しくない。だが、上下を絞られて敏感になった乳房の先端を舐め転がされると、嫌でも口から喘ぎ声が漏れてしまう。その上、知佳が秘裂に沿って縦に舌を往復させ始めた。
    「ああ、そんなこと止めてえ、知佳さん……」
    「気持ち良くしてもらっているくせに、そんな言い方はないだろう」
     井口の揶揄にマスク男たちが追従する。
    「乳首もビンビンですぜ、この女」
    「根元をちょっと噛んでやると、すぐ身体が反応しやがりますね」
     実際に乳首を甘噛みされ、紗菜は腰を跳ねさせてしまった。すると、肉芽が温かく柔らかい感触に包み込まれた。
    「そこダメだってばあ」
     声が甘く蕩けていることを紗菜は知らない。肉芽がチューッと吸われたかと思うと、舌で転がされ、こね回される。腰が勝手にくねり、踊り出す。
    「知佳さん、紗菜のクリちゃんはどうなってる?」
    「大きくなってます……。吸うと口の中でピクピクするんです」
     井口の問いに知佳は口唇愛撫を中断して答えた。紗菜を上目遣いに見ながら視線を合わせてくる。
    「恥ずかしいこと言わないで……あん、イヤっ」
     再び乳首を肉芽が吸い出された。背筋に箭のような快楽が走り抜ける。全身が宙に浮くような感覚に捕らわれる。すると、乳首と肉芽を包んでいた唇の感覚が一斉に遠ざかった。マスク男たちは自発的に紗菜の身体を離れたが、知佳はショートカットの髪を掴まれて強引に引き離された。知佳の切れ長の目尻に涙が浮かんでいる。
    「ど、どうしてっ?」
    「逝ったらわれわれの言うことを何でも聞かされるんだよ? そんなのイヤだろう?」
     再び、乳首への愛撫が始まった。片方の乳首はしゃぶり立てられ、もう片方の乳首は指でこね回される。
    「こんなのも悪くないぜ」
     マスク男の一人が、壁の棚にあったローションを指先に垂らすと、そのまま乳首をやわやわと揉み立てだした。冷たさとヌルヌルした感触が新たな快感を呼び起こす。
    「それにしても、ちょっと毛が濃いねえ、紗菜さんは。トリミングが足りないようだから、後で剃ってあげようかな」
    「ふざけないでっ!」
     紗菜は顔を上げて井口の揶揄に抗議した。
    「ほほぉ、君の要望は承知したよ」
     井口はそれまで放っておかれていた美奈を紗菜のところまで引きずってくると、耳元に何かを囁いた。美奈がイヤイヤをするように首を左右に振ると、マスク男の一人が乳首を捻り上げた。美奈は痛みに屈したのか、後ろ手に縛られたままの姿で、紗菜の後門に舌を這わせ始めた。
    「何するのっ、止めてください!」
    「自分が頼んだことじゃないか」
    「そんなこと、言ってませんっ」
     紗菜が必死で言い募る間にも、後門や蟻の門渡りに柔らかくぬめった舌がチロチロと蠢いている。乳首への責めも止まない。だが、勃起しきった肉芽や濃い花蜜を垂れ流す秘裂は無視されたままだ。
    「ふふふ、君は英文科卒だそうじゃないか、それなのに学生時代にロクに勉強をしていなかったんだな」
     顎をつまんで上を向かせた紗菜の瞳を覗き込みながら、井口は続けた。
    「『ふざけないで』って、英語では"kiss my ass"っていうんだ。だから、紗菜さんの願いを叶えてやったのさ」
    「ああ、そんな意地悪……」
    「こんなに可愛がってあげてるのに、意地悪とは心外だねえ」
     今度は知佳が放置されていた紗菜の肉芽に舌を這わせてくる。肉芽に鼻先を押し付けながら、花蜜を吸い、秘裂に尖らせた舌を差し入れてくる。先ほど、自らが美奈を悶え狂わせた責めを加えられ、紗菜の肉体は他愛なく炎上する。もちろん、その間にも乳首と後門への責めが緩む気配はない。
    「あん、許して……。ああ、もう……。いいっ!」
     紗菜は涙と涎まみれになった顔を振り立てた。全身が明らかに硬直し、小さく震えている。
    「9分40秒。あと20秒我慢すれば、解放してもらえたのにねえ」
     井口が腕を差し出して手首に付けたスマートウオッチを見せる。確かに、ストップウォッチモードとなった画面には、確かに井口の言ったとおりの時間が表示されていた。
    「言ったよな、10分以内に逝かされちゃったら、われわれの言うことを聞いてもらうって。忘れてたわけじゃないだろう?」
     井口の嘲笑に、紗菜は快楽に蕩けた目で睨み返すことしかできなかった。2人の女たちに痛ましそうな視線を向けられているのが、却って屈辱的だった。
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