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    敗者復活(「やち責め」・完)

    「せっかくだから、早季のいつも使ってる道具で責めてやるぜ」
     奥村は部屋の隅に置かれていた早季のバッグから化粧ポーチを勝手に取り出してきた。
    「結構高いんだってな、この化粧筆。手触りも良さそうぜ」
     ポーチから引っ張り出したのは、穂先の丸い幅1センチほどのアイシャドウ用化粧筆だった。中国地方で丹念に作られた名産品で、有名な女優らに愛用者が多いと言われるものだ。もちろん、価格も高い。
    「お願い、それだけはエッチなことに使わないで……」
     一人暮らしの派遣OLである早季の持ち物としては、数少ない高級品で、大事に使ってきた。それを、愛人とともに自分を嬲り者にするような男が面白半分に弄ぶのは許せない。
    「はうっ!」
     奥村がいきなり、その大切な化粧筆で早季の肉芽を一刷きした。早季の身体がビクンと震える。
    「ほら、なかなか気持ちよさそうじゃないか。こうしたらどうなるかな?」
    「ずるい、奥村さん。タイマーは?」
     早季の乳首を愛撫しながら、美冴が苦笑して指摘した。
    「おっと、忘れてた」
     タイマーをセットすると、奥村は早季の前にしゃがみ込んで本格的に筆遣いを始めた。肉芽の周囲を筆でなぞって早季を屈辱的な快感に呻かせる。肉芽の先端にチョロチョロと筆を踊らせる。
    「まるで習字の時間だな。今、字を書いてやったぜ」
     筆が肉芽の上で複雑な動きをたどった。早季の悲鳴が高まり、喘ぎ声の掠れ具合が大きくなる。
    「何と書いたか分かるか?」
    「そんなの、知りません……」
    「『早季のドスケベ』って書いたんだよ」
    「エッチなのは奥村さんじゃないっ! こんな人と一緒にあたしのこといじめて……」
    「失礼ね、こんな人なんて」
     余裕の笑みを浮かべながら、美冴はそれまで優しく指で包んでいた早季の両乳首を捻り上げた。
    「い、痛いっ!」
    「そう言いながら、オマ×コからネバネバしたのがドバっと溢れてきたぜ」
     奥村は嗤いながら筆の動きを加速させた。化粧筆の穂先は縦の往復運動を繰り返したかと思うと、一転して小刻みに左右に擽る動きに変わる。美冴は早季のうなじにチュッチュッと啄むようにキスしながら、マニキュアの施された手指を滑らせるように乳首に刺激を送り込む。早季は桃色に染まった全身にうっすらと汗を浮かべ、あごを上げながら顔を左右に振り立てつつ、ピッチの速い呼吸を繰り返す。子宮の中で限界まで煮立てられた快感は、はけ口を探してさまよっていた。
    「ほら、これでどうだ?」
     奥村は小刻みに動かしていた筆で蜜壺から溢れて止まらない粘液をすくい、肉芽に数回こすり付けた。人の字型に吊られた早季の身体は、次の瞬間大きく震えた。
    「あ、ダメっ、ダメ……。いやぁ、逝くっ、逝っちゃうぅっ! もう、ああっ……」
     全身を震わせながら、早季は敗北を宣言した。顔を大きく反らせた後、がっくり下を向いて荒い呼吸を続けていた。そのとき、ちょうど1分経過を告げるタイマーの音が鳴り響いた。

    「わたしの負けね、残念だわ」
     早季の顎をつまんで淫欲に破れた表情をのぞき込みながら、美冴は微笑んだ。
    「そうだな。ま、美冴にも敗者復活の機会を与えてやろうか」
     背後から美冴の身体に腕を回しつつ、奥村は囁いた。
    「どうするの?」
    「まずはこうだよ」
     奥村は美冴の両腕を背中の上にねじ上げた。
    「え、ちょっと待って、どうしてあたしが?」
     美冴は抵抗したが、両手首を縛り上げた麻縄はあっという間に胸の上下に掛け回される。後ろ手に緊縛した美冴のスカートに差し入れた手をショーツの中に潜り込ませながら、奥村は言った。
    「早季を愛撫しながら、自分も興奮していたくせに。こいつに負けないぐらい濡らしてるぞ、ここ。うわ、熱いし、イヤらしい音が響いてくるし、おまけに濃い匂いも漂ってくるぜ」
     ショーツの中で指を蠢かせながら、奥村は美冴の耳元で、その恥ずかしい様子を実況した。
    「ああっ……
     片方の手で美冴のカットソーの衿を開き、ブラジャーから両方の乳房を引っ張り出して乳首を嬲り回しながら、奥村は言った。
    「今度はな、お前が早季の前に跪いてクリちゃんを舐め舐めしてやるんだ。その間、おれは指でお前のオ×ンコを優しく撫で撫でしてやる。時間制限はなし、先に逝った方はお仕置きだ」
    「そんなのイヤっ」
    「恥ずかしい……」
     女たちから異口同音に悲鳴が漏れた。それを無視して奥村は続ける。
    「不公平がないように、どっちが先に逝ったかは、おれ以外の第三者にも判定していただく。お仕置きも、その方にお願いするつもりだ」
     再び女たちが抗議と泣き声を響かせる中、奥村はスマートフォンを取り出して電話を掛け始めた。
    「あ、喜多さんですか? 奥村です。今、準備が終わったところです。ええ、抜かりはありません。相変わらず手が早いですって? この前の女を喜多さんが堕とした手口の方が、よっぽど悪辣じゃないですか。あ、承知しました。お待ちしています」
     電話を終えた奥村が女たちに向かって告げた。
    「今から、ここにいらっしゃる喜多さんは、おれの大先輩だ。デカくて坊主頭だから一見怖そうだが、女には優しい方だ。失礼のないように応対するんだぜ。機嫌を損ねるような真似をしたら、その格好で浣腸した後、外に放り出すからな」
     女たちがすすり泣く声を心地よく聞きながら、奥村は久しぶりに愉しむ4Pに心を躍らせていた。
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